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2014年1月15日水曜日

ShowName TORPEDO

非常勤で行ってるNATS日本自動車大学校の学生たちのオートサロン出展、
製作補助もようやく終わり、EVカー部門で造った車両も優秀賞。

学校にとっても自分にとっても良い一年の始まりやった。

やっとこさ今回HOT ROD CUSTOM SHOWに製作したバイクの製作記ができる。

多分SHOWで観て何がどうなってるのか知りたいというような人も2~3人はいるやろうからww

一昨年ベストドメスティックからのNAGOYA SPEED&CUSTOM SHOWに、
声をかけてもらってあんな舞台に立ったんだからという責任感。
会場で同じようにミニで戦っているFUNNY氏にも、「横浜出します」と行った手前・・・

自分らしい、改造少年らしいものを出したかった。
中途半端な完成度じゃなくて・・・





まず今回はMBを造る前に計画していたネタを少しいじって
MBを含めた2台展示で作風を確立したいという思惑があったわけで・・・




結果、作風を確立出来たかどうかはわからんけど、
前にも書いたけどアワードに匹敵するくらいの嬉しい事があったから、
良しとしている。

そもそもの始まりはMBの前にYAMAHAルネッサ250をCHOPPERにして
結構な人に改造少年らしくない?みたいなことを言われて・・

でその時に考えてたネタがこんなの・・





まだカブ系エンジンのアイディアでタイヤサイズなんかを考察しているときのドローイング。

で、ここからホンダミニの代表の横置きフレームに、
これまたホンダミニの縦型代表エンジン積んだら、誰も見た事無いマシンになるんかな・・・
っていう気持ちが芽生え


考えが移行していったわけです。

ShowName TORPEDO意味は魚雷。
あくまで行きの燃料しかない、低く構えたライディングフォルム。
かわいい過ぎるほどかわいい印象のシャリーのイメージを捨て去り、凶器的なイメージへ。

絶対イビツになるであろうシルエットをまとめる為には
色々と苦労があったけど、その全ての行為は必然な事だった。

ベースフレームをシャリーと設定した時に、このマシンが脳裏に浮かぶ。
数年前にボディラインさんが出したこのシャリー。


シャリーをベースにしたマシンの中で群を抜いた独創性と
板金技術を含め、高い完成度を誇る、この作品を避けては通れなかった。



この秀逸な作品と同じベースでKUSTOMに対峙し、
改造少年のベクトルで、かつ超えなければない必要があった。

この作品がフレーム延長して、シャリーのアイデンティティーを含ませたものなら。

自分は延長してバランスを取らず、
 
一見シャリーと解からず、

レトロでスペーシーなフューチャーロッドで改造少年らしくぶっ飛ぶ。

答えはおのずと導かれる。

自分が信じる方向に進むだけ・・・・という気持ちで
製作に取り掛かったのが(取りかかれたのが)10月も半ばを超えていた。


まず寸法などの下調べもせず、物がなければ話にならないとフレームを購入。
NCでお世話になっているY崎先生の口癖「付くかどうかでなく、付けるんだ」という言葉は
的を得ているなあww

ストックしていたミニモト用ディスク10インチスポークに
コンチネンタルのベスパ用ホワイトウォールを履かす。
フロント3.00-10、リア3.50-10。



エンジンは腰下がノーティダックス。シリンダ、ヘッドがCB50S。


横から眺めるとまずまずのバランス。


ホイールはスペーシーにするためにホイールキャップが必要だった。
が・・・無い。
途方にくれながらアンテナを伸ばす。
ホイールを片手に巨大なホームセンターをうろつく。
とデラックス灰皿ステンレスを発見!!


ただ使うでは能がないので灰をためる部分をカットし、
マウント部を叩いて落とし込み、
あたかもネジが止めれるような段差を造り、
タバコを置く蓋を逆から合わせ・・・
ハブの逃げをプレスで押し出すといった流れで何とか格好がついた。


上から見たら何とかなりそうな寸法で物が来てからホッとした。


フレームワークはインナーパネルのスポットを剥がすところから。
モノコックで強度を出してるからね、このフレームは・・・

でエンジンが当たる部分のアウターパネルを少しづつ切っていく。
インナーを剥がすと、当然アウターだけになるわけで・・・
そっとエンジンの上から被せると・・シリンダーの幅とアウターの幅がすごくいい感じに収まった。
左右5mmずつ。

既存のアウターがインナーになるように、新規でアウターを造る方向で決まった。


インナーを剥がしたすきにフレームを中間50mm、上下は30mmほどセクショニング。
縦型エンジンとのバランスを見たらこれは必然的な加工。


この時点で相当小さいのがわかる。
対比がないとスケール感がわからないっていうのも裏のコンセプトやったからね。



タンクは別に移動させる予定だからシート部も切り取り、
全体が詰まった分フレーム後ろ側も25mmほど切り詰める。


 

当然エンジンマウントも合わないんでカットし5mmの鉄板から切り出す。
シリンダー部分のアウターも、
サイドから見た時に純正のプレスラインに準ずるようにふくらます。
ここは純正が2mmの鉄板だけど、さすがに加工がきついんで1.6mmにした。


シートカウルは長さ、厚み、形状をイメージしながら進める。


でこの写真は多分Facebook に載せたもの。
インナーとアウターが完成したときやね。


治具の上に転がってるのは通常のミニ用サスだとスケールがばれるんで
カブ用をばらしてショート加工したやつで・・・

純正のエアクリもシェイプした。


次にフレームの強度とデザインを兼ねたサブフレームの製作。
この部分は上下左右の4枚のシートメタルでボックス構造にした。


エンジンの周りに気持ちいい空間を与えかつ
後に来るサイドパネルとスポット出来るようなV字の骨を1.6mmで造った。

上部はデザイン的に二次の曲げだから強度確保で3.2mmで。
後端はシートとの繋がりでRをつけて落とし込む。


サイドパネルは1.6mmの鉄板をひたすら伸ばして、はじめに造ったV字に合うように板金。
写真は失敗作。プレスを出すための鏨(たがね)の打ち方も雑で・・・


でこれが成功品。失敗に失敗を重ね成り立つからね・・・


色塗ったらパテが大量に入っててもわからんけど、
今回のもう一つの裏のテーマは板金やし。
極力パテを使わず造るって事。


サブフレームが粗方見えてきたら、すかさずバランスを見る。
幾度となく繰り返す行為の果てに見えてくる部分。


予想どうりネックに向かうフレームが分厚くなったように見える・・・
フレームを詰めていって、ここだけストックでは当然バランスが悪くなる。
ここはネックチューブまで影響する所。


都合25mm詰める。合わせてネックも詰める。
後々効いてくるからね、この辺のバランスは・・・



フレームの下側端部のプレスが当然ズレる。
切ったフレームは最後まで残しといて使えるRがあれば使う。


ここも完成したらこうなる。



とりあえず色んな物の配置とかバランスを何度も眺めては慎重に「ここだ!」を探す。


こうじゃないかと思ったら、無駄になるかもだけど造ってみる。
でダメだったら壊す。


スイングアームは社外のメーカー不明。
セオリーと違うけどセンターを12mm詰める。


シートカウルもモノコックにせんと強度が無くなる。
3.2mmの鉄板で上側を造る。
 先に造った裏側のホイールアーチ部と、なるだけぴっちりなるように。

この裏のピースがまた複雑な形状でRを付けるのが苦労した。


サスのマウントを造って理想と言うか狙った車高に。

フロントはモンキーのを使おうと思ってたけど、
ナローでショートにしたところで二番煎じ・・・




本来横置きのエンジンのヘッドが来る部分は補強を兼ねたエンジンマウント兼フレームに。


マフラーもフレームからニョキっとでるように位置を出して造る。


フレーム上部には極小のタンクをセットアップ
するために溝を入れる。
モンキーのフォーク幅が広すぎるほど広い・・・



タンクは約1L。
走れるの?って大容量のタンクなんてアンバランスな事は死んでもせん。
Show bikeだからね。




この段階でシルエットは大体出た。
キャブのファンネルは、単なるやりすぎww







キャブのファンネルはステンのパイプを使い、口の部分は治具を造って叩く。
冷間でもここまで伸びる。


フォークは出来てないまま時間的に先に行かざるを得なかった。
各部に必要最低限のパテでモールディング。


シートは毎度おなじみのE刺先生。
ベースまでは自分が造ってあとは任せる。
彼とはもうだいぶん長い付き合いになる。


サフェ・・・奥は50クラウンのフェンダー。
夜な夜なレストアしているI田先生の。


単体で観たら何かわからん、およそバイクのフレームとは・・・


そうこうしているとシートが縫い上がった。
今回はボタンで留める方式。


色は大神戸製のグリップに合わせる為にずいぶん探したレザー。
タックロールの盛り上がり方について随分やり直してくれた。



ここまでの作業でこの日が11月26日。
搬入が11月30やったから4日前か・・・


プラグコードはビンテージタイプ。
キャップは感電するタイプのやつww


エンジンをポリッシュ。
これは昼間に学生も手伝ってくれたんやった。

塗装・・・
この日は27日やったなあ~。



イメージは海の中、深い所。


今回はメッキに出す時間的余裕がなく、
ステンやアルミを効果的に使い配色のトータルバランスを取った。


塗装が上がって組み始めた28日の段階でフロント周りは何一つ出来てなかった。
ステム、トップブリッジ、ライトマウント、ハンドルすら・・・
でも間に合わすという意地だけはあったわけで・・・




結果搬入日の朝なんとかFINISH。


昼間学生の指導で車造りを。
夕方5~6時からはじめて深夜2時ごろまで作業をして帰る。
翌朝6時半に起き、非常勤の仕事に行く。
これを10月後半から一日の休みなく繰り返して完成した。

忙しくて時間がないのはみんな一緒・・・

出来ない言い訳をしたくない。
都合のいい解釈をする、しょーもない大人になりたくない。

時間が足らなければ睡眠を削る。

それでも足らなければ昼飯を食う時間を削る・・・

今回もまた1カ月ほど朝飯も昼飯も食わずにやった。

みんな平等の24時間。出来ないのは自分のせい・・・・

学生に背中で見せるという目的もある。

やるっていう事はこういう事だと・・・

なわけで

各部を紹介いたします。



フロントフォークは原付のシングルクラウンの短く細いテレスコタイプ。
長さが足りない部分は延長したためにトップブリッジのカバーを付けた。


フロントブレーキは自転車の油圧ブレーキを補助的に付ける予定で購入していたが
極限までナローにしたかったので迷いに迷ってレスに。


ステムの下側は去年のMBのを左右詰めて、CD50幅よりナローに出来た。


本来外側にあるステムのクランプボルト部を内に向け視覚的にもナローに見えるように。
かつ鋳造のバリ風に削り、リューターで荒削り、その後ペーパーで仕上げ質感をこだわった。


ワイヤーは左右振り分けてここへ。


ヘッドライトはビンテージのマーカーランプ。
レンズをシリコンで型どりエポキシ樹脂に着色し新規で製作。




我が子のブロックを拝借して・・・その後は型どり専用となった・・・


ライトマウントも自然なディテールを目指した。

トップブリッジはアルミ板を切り出し、ひたすら削って形を出した。
なるべく高さを出さずにフラットに。


そこへハンドルマウントを溶接。


ドックボーンを二つ並べて一体化した後にトップと溶接。

ハンドルは左右インナースロットル。
右はアクセル、左はリヤのディスクブレーキマスターの
アームを引く構造にしてスロットルブレーキ化。


ホイールキャップは前記したとおり。


フレーム加工は前記、
アクリルのレッグガードはMBと雰囲気を合わせフューチャーロッド感を出す為に必要だった。


アクリルのシフトノブはいつもの手法、スケール感を損なわない様に小さめ。


リンク式を止めロッド式にしたシフタ―。
フレームとの関係性を極限まで詰めて造る。



キックは極力エンジンに添わす。


ファンネルは前記したが、シャフトをよけてマウントはイモねじで。
キャブはC100のダンドラ。フレームの一部に横出しマニの逃げを造り、ぎりぎりを狙った。


クラッチの受けはボディ側と一体に。左フットがスーサイド。


マフラーは車体に寄せてターンアウトの切り口を上から見たラインで合わせる。


リヤ周り


ワンオフのローター。
あえてプレーンした。キャリパーは汎用の50cc用。
ブレーキマウントはスイングアームから直接溶接した。
チェーンを引いてもローターとパッドの当たりに余裕があった為すっきり見えるこの方法をとった。



ステップも長さを詰める。

本来あるべきフットブレーキアームはスロットルになっているので存在しない。
あるべき位置に無い・・でも機能は殺さず・・・


左のフットはスーサイドクラッチ。
サスは純正カブのインナーカバーをひっくり返してアウターカバーにして
バネ長さを設定しフルボトムでもフレーム側、地面ともに擦らないクリアランスに。

スプロケは以前メッキにかけたものをチョイス。


シートはボタン式で固定。


シートタグはいつもお任せ、今回は旭日やった。


タンクはアルミ板とアルミの丸棒でリブを造り、縦のラインを強調。


エンジン左側のカバーは切ってくれと言わんばかりのラインがあったのでそこでカット。

とまあこんな感じかな。

全体のシルエットなど・・・











どこまで自分との戦いに負けずにやるか・・・


やった事無い人はわからんやろうな・・・


好き勝手言うもんな・・・


それぞれのバイクに思いがある・・・
かっこいいとかカッコ悪いとか表面的なものにとらわれて
本当の意図を読み解こうともせず…


Show会場で知らない人がこのバイクの前で話してた会話・・・
Aさん「何これ~すっげえ小さい」
Bさん「遊びやろ、どうせこんなもん乗れへんし」
Aさん「あんなタンクじゃなあ」

これが遊びで造れるか!アホか!
逆に遊びで造れるぐらいの技量が欲しいわ!鈍感な感性が・・・
気にならない感覚がよ!!

別に何を言われても構わないけどねww
わかってくれる人はわかってくれたから・・・

今回のショーでアワードに匹敵する嬉しい出来事が3つあると言った。
正確には4つか・・・

一つ目は凄い詰め方してる大神戸の河田さんがMBを見たかったとブースを訪れてくれた事。

二つ目は改華堂の小川さんが会場で一番いいと、ブログで言ってくれた事。

三つ目はこれまた凄いこだわりで製作されているBAR-BERサイクルさんが
意図をわかってくれた事。

そして四つ目は何より超えなければいけないと思っていたシャリーの製作者
ボディラインのうちの一人、1号こと池内さんが「100点満点、来年看板なくてもわかる」と
言ってくれた事。

今回もいろんな人に協力してもらってたどり着けた。
心からありがたい。


自分が物造りを通じて存在意義を確認する・・・

知らない誰かの心をちょっとでも揺れ動かして・・・

CUSTOM SHOWって夢を与える場でもあるわけで・・・

金儲けも大事やけど・・・

純粋に驚きや感性に訴えかける場でもあるわけで・・・


ギリギリの精神で生み出して、一歩でも多く足跡を残す。

記憶に残る物を魅せる。

まだまだ技術も足りないけど、仰げば果てる事がないけど

今後もCUSTOM SHOWにおいては

自分のスタイルを貫く。


流行ろうが流行らなかろうが・・・・

儲かろうが儲からなかろうが・・・・・

これからも変わらず「改造少年スタイル」で・・・

今後とも応援、ご協力お願いいたします。


CREATION DESIGN GROUP改造少年

代表 阪口元樹